心震わせて!

日常で感動したことや心震えたことを綴っていきます。といってもほとんどはドラマで感動したことですけどね。

イニシエーションラブのネタバレと感想!最後の2行を映画は5分で表現!イニシエーションの意味とは?

映画「イニシエーションラブ」を観てきました。

ものすごく面白かった!

あの物語の構成、これまでになかった。

予告通り、2回観たくなります。なぜ2回目を観たくなるのかというと、そこにはあるトリックが隠されているからです。

最後の5分、大どんでん返しが来ます!

これから、イニシエーションラブの感想をネタバレを含めて書きますが、まだ観ていない人は絶対に読まないで下さい。

一気に楽しみが半減、いや、まったく楽しくなくなると思いますので。

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映画「イニシエーションラブ」の感想

物語はside Aとside Bの2つの構成で進みます。

まず、side Aでは、小太りのモテない大学生、鈴木夕樹を中心に話が進みます。

小太り大学生を演じるのは俳優、森田甘路(もりたかんろ)。


1987年7月、静岡県から物語は始まります。

鈴木夕樹は数合わせで合コンに誘われるのですが、そこで、前田敦子演じる成岡繭子と出会います。

繭子はルビーの指輪を付けており、周りからうらやましがられていました。

鈴木夕樹はこんな僕なんかに女ができるわけがないと思いきや、繭子は鈴木夕樹に徹底アプローチ。

当然鈴木夕樹は繭子に惚れました。


二人は頻繁に電話をするようになります。

電話口では「たっくん?」と色っぽい声。

この繭子のあざとい感じ、絶対何か裏があるに違いない、と思いながら観ていました。

毎週金曜日に二人で会うようになり、お互い読書が好きと言うことでおすすめの本を貸し借りしてました。

鈴木夕樹はハードカバーの本を貸していました。

まさかこれが伏線になっているとはね。


繭子は二人でいるとき、急に「タック」と発しました。まるで名前を呼ぶかのように。

すると、繭子は突然、鈴木夕樹のスーツのズボンのタックを指さし、タック1つ取ってもかっこいいんですよ~としらじらしくごまかしてきました。

ここでみんな思ったことでしょう。繭子にはタックいう男が他にもいるんだなということを!

しかし、それでも最後に騙された人は多いと思います(笑)。


繭子は、お互いのことをあだ名で呼ぼうと提案し、鈴木夕樹の「夕」がカタカナの「タ」に見えることから「たっくん」と呼ぶことにしました。

逆に、鈴木夕樹は繭子のことを「まゆちゃん」と呼ぶようになります。

side Aでは他にも、合コンメンバーで集まって海に行ったり、テニスをしたりする描写がありました。


そして二人は付き合うことになり、クリスマスイブに、ホテルに泊まろうということで、予約の電話を入れます。

クリスマスイブの夜なんてもう埋まってるだろうとダメ元で電話しましたが、なんと奇跡的に、たった今キャンセルが出たところなんで、ということで予約できました。

クリスマスイブ当日、ディナーを楽しみ、繭子は鈴木夕樹に「エア・ジョーダン」をプレゼントしました。かっこいいシューズです。懐かしいですよね。

鈴木夕樹は、繭子がルビーの指輪をしていないことに気づきます。

どうしたのかと尋ねると、なくしたという返答が。

来年の誕生日は僕ルビーの指輪をプレゼントするよ!と言い、でも今日は別のプレゼントね、と用意していたプレゼントを渡しました。(中身忘れました。なんだったかな?)

 


ここまでの展開なのですが、非常にコミカルに店舗よく進みますので、劇場でも笑いが起こる場面が多かったです。

鈴木夕樹の全力感が痛くて笑えるんです。

予告編のあのシリアスな感じは全くありませんでした。

 

 


しかし、side Bになると、雰囲気がガラッと変わります。

エア・ジョーダンをもらった鈴木夕樹は嬉しくてその場で履いてしまいました。

喜んで飛び跳ねていると、近くを通ったカップルが鈴木夕樹と繭子を見て、「あの二人、釣り合ってなくね?」と悪口を飛ばしました。

見た目に自信のない鈴木夕樹はがっかりし、繭子に「ごめん、僕がこんなだから・・・イケメンの方がいいよね。」

すると繭子は「痩せたらもっとかっこよくなるかもね~」。

それを真に受けた鈴木夕樹はさっそくダイエットを始めます。

ナレーションで、「まゆちゃんに出会って僕の人生は180度変わった。」と言いました。

シーンは変わり、エア・ジョーダンを履いて走る、太い足が映しだされました。

そこから、どんどん足が細くなっていき、映し出された姿が、なんと松田翔太(笑)。

痩せるだけでこんなイケメンになれるんかい!とツッコミを入れた方も多いはず。

でも、今までのコミカルな流れからすれば、何ら不自然ではないですよね。

このコミカルな流れもまさか伏線になっていたとは・・・。

 

 


俳優が松田翔太の変わったところから、side Bが始まります。

文字通り、人生が(というか人が)180度変わるんですね(笑)。

side Bでは、就職したイケメン鈴木の物語が中心となって話が進みます。

鈴木は優秀な人材だったため、会社から、東京へ行くように命じられました。

しかし、繭子が静岡にいるので、遠距離恋愛になってしまいます。

最初は悲しんでいましたが、鈴木が認められた、すごいことだ、と繭子も納得し、静岡、東京の遠距離恋愛が始まりました。

ところが・・・。

 


そううまくはいかないのです。

鈴木は毎週末車を飛ばして繭子に会いに行っていましたが、東京で過ごす
ストレスから繭子への気持ちが揺らいでいたのです。

最初は繭子に会いたい、静岡に帰りたいという気持ちがあったのですが、日を追うごとに、面倒臭くなってきます。

好きなのかどうかわからない。

 


ある日、繭子は海に行きたいと言いだし、今度の土曜日に行くか、という話になりました。

しかし、鈴木に予定ができてしまったため、3週間後の土曜日に持ち越しになりました。

3週間後の土曜日、鈴木は繭子に会いましたが、繭子の肌はすでに日焼けしていました。

待ちきれなくて友達と海に行ったんだ~と楽しそうに話す繭子。

みなさん、ここでどう思いましたか?私は鈴木同様、ふ~んとしか思いませんでした。

まさかこれも伏線だったとは。

 

 

鈴木は東京と静岡を行き来することにストレスを感じてきます。

東京静岡の高速代も馬鹿にならないので、下道で5、6時間かけて通うようになります。

ときに繭子へ冷たくあたることもありました。

繭子の机の上にあったハードカバーの本を見て、
「なんだよこれ、俺がどんだけ切り詰めてお前に会いに来てるのかわかってんのか!」
と大激怒。

本当にこのシーンは怖かった。

side Aとはまるで違うシリアスさです。

人が変わったようでした。(まあ変わってるんですけどね(笑)。)

このハードカバーの本なのですが、side Aで鈴木夕樹が貸した本じゃない?ストレスのせいで、自分で貸した本のことも忘れてしまったの?と私は思っていました。

が!やはりここも伏線でしたね。

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ストレスが溜まる中、鈴木は東京の同じ職場で働いている石丸美弥子に告白されます。

この美弥子は木村文乃演じる超美人で、誰もがうらやむ存在でした。

しかし、彼女がいるから、と断りました。

それからしばらくは普通に接していましたが、ある日、美弥子と二人で食事に行きました。

そこで、美弥子は鈴木の彼女のことを尋ねます。

美弥子「彼女のこと大切なんだ?」
鈴木「どうだろう。」

曖昧な返事を返す鈴木に美弥子は、
「好きという気持ちがないのに、自分がいい加減な男だと思いたくない・思われたくないという理由で今の彼女と付き合っているんだったら、それは彼女が可哀想。」
と述べます。深い!

そして、「あなたにとってそれはイニシエーションなんじゃない?」。

イニシエーションとは通過儀礼という意味。

つまり、自分が成長するため、大人になるための通過点の恋愛、それがイニシエーションラブです。

深い。本当にその通りだと思います。恋愛は人を成長させます。

というかこれを木村文乃が言うと説得力ありすぎて怖いです(笑)。

なんだか恋愛の手練れみたいな感じで(笑)。

余談ですが木村文乃ってしたたかな女役が多いですよね。銭の戦争や、今日恋を始めますとか。

 


この日以来、鈴木と美弥子は付き合うようになってしまいました。あちゃ~。

美弥子と繭子の二股生活です。

隔週で静岡に行き、行かない日は美弥子に会う。

最低野郎だな(笑)。

 


そんなある日、繭子の家にいるとき、何気ない会話の中で、繭子のことを「おい美弥子」と呼んでしまいます。

あの場の凍りつきようったら怖い!

「美弥子って誰?」

当然そう聞き返します。二股がばれる典型的なやつです。

しかし鈴木は逆に怒ります。

「俺が悪いのかよ!お前はちっとも会いにこねーじゃねーか!」と家の中の物を蹴り倒します。

そして出ていきました。「俺たち、2か月前にもう終わってたんだよ。」という言葉を残して。

正直、繭子は何も悪いことはしていませんし、鈴木が変わってしまったように見えます。

完全に環境の変化のせいです。

繭子がかわいそうだと思っていました。このときは。

その後、繭子から鈴木の元へ、プレゼントしたルビーの指輪が宅配便で送られてきました。

 

 

美弥子一筋になった鈴木。

ところが、飲み過ぎた夜に美弥子に電話しようとしたところ、間違えて繭子に電話をかけてしまいました。

繭子の声を聞いた鈴木は無言。

電話口からは「たっくん?」と無邪気な声が。

それを聞いた鈴木は急いで電話を切りました。

 


その出来事がずっと頭から離れない鈴木でしたが、クリスマスイブに美弥子の実家に行くことになりました。

両親とともに食事し、美弥子と二人になったとき、鈴木は抱えていた悩みを打ち明けました。

繭子と別れて何か月も経っているのに、さも自分からの電話を待っていたかのように、「たっくん?」と平然と言ってきたこと、もしかしたら、繭子は別れたと思っていないのかもしれない、と。

そんな馬鹿なことある?と美弥子は信じがたい様子でしたが、鈴木は、
「そういえばクリスマスイブに予約したホテルをキャンセルしたこと繭子には伝えてない。馬鹿だから、もしかしたらホテルに行ってるかもしれない!」
と言って美弥子の家を飛び出し、車を飛ばして静岡まで向かいました。

 


取り残された美弥子は、両親とお茶しながら話します。

両親「彼の名前は?鈴木何君だい?」
美弥子「彼は・・・鈴木辰也、辰也よ。」

ここですべての謎が解けました。なるほどーーー!

ピンと来ない方はもう少し読み進めてください。

 


静岡のホテルの前に着いた鈴木。

すると繭子が立っているではありませんか。

やっぱりあいつ待ってたのか!とダッシュで駆け寄ります。

すると次の瞬間!

同じく繭子の元へ駆け寄る男と激しく衝突しました。

その男というのが・・・なんとside Aで出てきた鈴木夕樹!

どゆこと?

ってなりますよね。

最後の5分で全ての謎が解き明かされる!

つまり、私たちはside Aを大学生時代のたっくん、side Bは就職して遠距離恋愛をするたっくんと思い込んでいた訳です。

しかし、side Aのたっくん(鈴木夕樹)と、side Bのたっくん(鈴木辰也)は別人だったのです。

side Aの続きがside Bという時系列で進んでいたのではなく、どっちも1987年の話、つまり、繭子が二股をしていたのです。

さらに言えば、鈴木辰也と付き合う方が早かったのです。

 

例えば、side Aで合コンのとき、ルビーの指輪をしていました。
しかし、クリスマスイブではなくしたと言っています。

これはside Bの鈴木辰也が合コン前にプレゼントしたもの。
そして、別れたため、宅配便で返したもの。

だから合コンのときにはあって、クリスマスイブにはなかったのです。

 

続いてside Bで見た繭子の日焼け。

あれも、side Aの鈴木夕樹たちと一緒に海に行ったから焼けたもの。

 

繭子の机の上にあったハードカバーの本。
あれもやっぱりside Aで鈴木夕樹に貸してもらったものだったのです。
そりゃあ鈴木辰也が、繭子が買ったものだと勘違いするのも無理はない。
鈴木辰也が貸したものではなく、鈴木夕樹が貸したものだったんですね。

 

そして極め付けはホテルの予約。
side Aで、ちょうど今キャンセルが出ました、と言われたのは、鈴木辰也がキャンセルしたからだったんです。

鈴木辰也が予約していたところと同じところを予約したため、クリスマスイブに鈴木夕樹と鈴木辰也が鉢合わせしてしまったんですね。

 

繭子が最初、鈴木夕樹に向かって「タック」と言ったのも鈴木辰也のことをたっくんと呼んでいたからでした。

 

まさか同じ年の話だったとは(笑)。

side Aでは、わざわざテロップで、「1987年○月○日」とか、ことあるごとに出ていましたが、side Bになると単に「○月○日」と出して年号を消していました。

これもトリックですよね~。

人間の先入観から1988年以降の話だと勝手に思っていました。

 


最後の5分でこの解説チックな映像が流れたわけですが、結局、繭子の方が先に二股をしていたわけですね。

でも、この種明かしがあってよかった。

もし、これが普通に進んでいたら、
ああ、遠距離でこんなに人が変わってしまうんだ、繭子可哀想、たっくん最低と、後味悪いものになっていました。

しかし、繭子も二股していた、この事実により、どっちもどっちじゃん!てか騙されてたわ!と笑って終わることができました。

side Aではコミカル、side Bではシリアス、最後の5分はやっぱりコミカル、観終わったあとの楽しさといったら半端なかったです。

予告編の雰囲気はside Bが切り取られていた感じですね。

松田翔太しか出ていないので、予告編の時点ですでに騙されている(笑)。

原作をよく再現した!

原作を読んだことがある人は、これ、どうやって映像化するんだろうと思ったはずです。

本では、人物の顔が見えないから読者を騙せたわけです。

ですが、映画ではきちんと再現できていました。

原作の最後の2行

「・・・何考えてるの、辰也?」
「何でもない」と僕は答え、追想を振り払って、美弥子の背中をぎゅっと抱き締めた。

これをラスト5分で解説映像にしたんですね。

また、ちゃんと鈴木夕樹が成長したかのようなカットでうまく表現できていました。

ランニングのシーンで変わるという。

ただ、鈴木夕樹がランニングしているということは、エア・ジョーダンをもらった後ということになるので、クリスマスイブの後、つまり、鈴木辰也とぶつかった後ということになります。

てことは繭子は鈴木夕樹との交際を継続したということですよね。

まあ、鈴木辰也は繭子が嫌になり美弥子と付き合い、繭子も鈴木辰也のことが嫌になって鈴木夕樹と付き合ったのだとしたら、特に問題ないですよね。

なんか二人とも二股してて、悪いやつらのように見えますが、よくよく見たら、二人ともけじめをつけて次の恋に移れたので、ハッピーエンドじゃないですか?

そして、最初は鈴木夕樹が騙されているように思えましたが、繭子が鈴木夕樹に言っていた気持ちは本当だったみたいですね。

女の人に慣れている男の人が嫌で、鈴木夕樹みたいな純粋で大切にしてくれる人がいい、と、最初は騙し文句に聞こえましたが、これは鈴木辰也との恋愛経験からきた本音だったのでしょう。

てことは、本当に誰も不幸にならないんじゃない?

これがイニシエーションラブ!

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